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屋久島『神々が宿る森』
- 2017年07月19日
- OKURIBOSHI
ふじやさとし映像作家
5日間の撮影を無事に終えることが出来た。
屋久島は、「1ヶ月に35日間の雨が振る」と言われる程の降水量で有名だが、天気に恵まれ内4
日間は快晴の元での撮影となった。
『神々が宿る森』という概念は興味深く、『八百万の精神』等にみられる日本人特有の『アニマ』
は、現代でもその心理に深く根付いている。
植物、生物、機械の定義が騒がれる今日において、デカルトの時代から語られてきた『実存主義』
や、日本古来の『アニミズム』は再認識されていくに値する。
『屋久島』は、鹿児島からフェリーで5時間の場所にある孤島だ。
何千年もの間、人が立ち入る事の無かった神聖な森は、静寂の中で豊かな水と命を育んできた。
太陽の光で様々な表情を見せる樹々の中、夢中でカメラを廻していると、一本の大樹の根元に4体
の人の形をした光体が、こちらを見て動いている。
有名な『木霊』である。
最期のカットを撮影している際に映り込んだ『木霊』は、この5日間の森での撮影をねぎらう様に
佇み、太陽が沈むとともにゆっくりと消えていった。
これは大地が豊富に含む水分が蒸発し、陽の光で乱反射する事で現れる科学的に説明される自然現
象である。
日が沈んだ森の中で、胸の中をゆっくりと満たしていく『感謝』の想い。
太陽の光とともに消えていった木霊たち。
自分の存在は水とアミノ酸で構成された有機体であり、この『命』もまた、かれらと同じ自然現象
だ。
『生命の定義』を考えさせられる、貴重な撮影の日々だった。
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